せいぎのみかた
第4話「忍び寄る影。」

※前回のあらすじ※
一世に続き、麻衣子も戦士として覚醒した…。
だが、敵はどんな奴等なのか、一体何の目的でクリスタルを狙うのか。
そして、一世達を助けた「光の矢」を放った者は何者だったのか。
未だに不明のまま、戦いは続く…。

とても天気が良い今日。
5人はいつもの山の中にある、ミーナの宇宙船の中の廊下を歩いていた。

「やっぱいつ見ても凄えなぁ。」
一世は辺りをキョロキョロ見ながら呟いた。
「しかし、なんでまた急に『今日ウチに来て。』何て…ねぇ?」
未来が不思議そうな顔をしながらそう言った。
「一世が調べて欲しいっつった、アレのことで何か解ったんじゃねぇの? って言うか、それしか無いと思うぞ。」
と、北斗が言った。

そして、5人は一つのドアの前にいた。
「確か…この部屋で良いんだよなぁ…。」
「多分ね…。」
「一番奥の部屋って言ってたし。」
そして一世はドアを開けた。

「なっ、何だ? こりゃぁ!!」
部屋の中を見て、一世はそう叫んだ。
その部屋には、中央の円形の床と、そこから十字状に伸びた通路の他に床は無く、下一面に水が揺らめいていた。
「うわぁ…、まるでプールみたいだねぇ。」
一世の後ろから、部屋を覗きこんだ未来がそう言った。
そして5人は部屋の中央に向かった。
「…しっかし…、宇宙船の中にこんな部屋、どうやって作ったんだろうなぁ。」
北斗は部屋の中を見渡しながらそう言った。

一世は屈んで水面を覗きこんだ。
「結構意外と深いんだなぁ。どうなってんだろう?」
と、呟いたその時だった。
「じゃあ見てくれば?」
と、後ろから声がして、背中に衝撃を感じたと思ったその瞬間…。
『バシャーーーン!!』大きな水音と共に一世は水の中に落ちた。

そして13秒後…。
「ぶはぁっ!!」
半分溺れかけたが、一世は何とか水面から顔を出した。
「おかえり。どうだった?」
と、言う声がして見上げると、そこには未来がいた。
「バカ野郎テメーーーー!! 何が『おかえり』だ!! 俺を殺す気か?!」
一世は未来にそう怒鳴った。
「何いぃ?! 誰がバカだって〜!!」
「テメーだ!! バーカ!!」
「何だとテメー!! ぬっ殺す!!」
と、二人がケンカをし始めたその時…。

「ごめんね〜。ちょっと遅くなって〜…。」
と、タイミングが良いのか悪いのか、ミーナが来た。そして一世達の様子を見て言った。
「どうしたの…?一体何があったの…?」

一方…。

「まさかお前の部下もやられるとはな…。」
ブラックドラゴンはそう呟いた。
「一番下っ端だが、あの星の原住民など、軽くねじ伏せる程の力はあるんだが…。しかし…。」
そう言ったのはクルーガーだった。
「と、なると…、もう既に戦士が覚醒してる。と、言う事になるな…。」
と、ゴーストキラーも言う。

「本格的にクリスタルの捜索にあたっても良いのだが…。あの時みたいに、なるべく原住民との衝突は避けたい。」と、ブラックドラゴンが言った。
それを聞いたクルーガーが反論した。
「なら我々にどうしろと言うのだ?」
「おそらく、原住民の中に戦士がいるだろう。と、なると捜索するのは困難だ。」
「まずは、おとりを使って、戦士となる者を探し出し、それからクリスタルを手に入れる。」
そう言い終わると、ブラックドラゴンは、、青い鎧を身に付けた、鳥人の姿をしている者にこう言った。
「ライガ、今回はお前に任せよう。」
「…了解しました…。では早速…。」
ライガと呼ばれた者はそう言って、部屋を出て行った。

「…フンッ! 前々から思っていたが、気に入らん…。」
そう呟いたのは、ゴーストキラーだった。
それを聞いたクルーガーも呟いた。
「元々、我等の仲間では無いのに、この誇り高い四天王にいて、そして大きい顔をしているのが気に入らん。」
「一体ナイトメア様は何を考えておられるのだ…。いつ裏切るとも解らぬ者を何故…。」

私室に着いたライガは、右手に持ったイービル・コアを眺め、静かに言った。
「出でよ…。ダークウィング!!」
イービル・コアが輝き、光が消えたそこには、人間の大きさ程のコウモリの怪人が姿を表わした。
ライガはダークウィングに言った。
「いいか…クリスタルを奪おうとは考えるな。相手の正体を探るのがお前の役目だ。いいな。」
「ははっっ!!」
そう言うと、ダークウィングは姿を消した。

「グルルルルル…。」
と、ライガの背後から獣のうなり声が響いた。
ライガは、声のした方へ振り向き、そして静かに言った。
「ケルベロスか…。」
そこにいたのは…。
3つの頭を持ち、背にはコウモリの様な翼があり、尻尾は蛇という、魔犬の姿をした、銀色の聖獣だった。
「お前はダークウィングの後を追え。そして、無事で帰ってきそうだったら…、始末しろ。」
「わかりました…。」
ケルベロスはそう言うと、ダークウィングの後を追うべく、姿を消した…。
「戦士の者には頑張ってもらわないと、困るのだ…。」
ライガは静かにそう呟いた。

そして場所は戻って…。

「あれを調べたら、色んな事が解ったのよ…。」
ミーナは、内容を余り言いたく無さそうな感じだった。
「色々な事って? へ……、へっくし!!」
一世はタオルで体を拭きながら、ミーナに訊ねた。

ミーナは話を続けた。
「まずあれは、一見クリスタルの様に見えるけど、あれは機械に近い物よ。」
「あれは、沢山の目に見えない程の小さな回路によって、特定の物質を瞬時に作り出す事ができるの。
そして、中にある人工知能によって、自己で物事を判断して行動できるの。言わば使い捨ての兵力って訳。」

「へぇ、そんな凄い物が作れるのに、何であいつ等はクリスタルを欲しがるんだろうなぁ。」
と、北斗が不思議そうに言った。
「そうだよね、何でだろう…。」
北斗の言った言葉に納得しながら、麻衣子もそう言った。

「クリスタルを欲しがるその理由は解らないけど、これを使う奴等はたった一つ、それは…。」
そう言うと、ミーナは表情を曇らせた。
「ダース・ナイトメア…。一流の宇宙海賊ですら、その名を聞いただけで逃げ出すって噂よ…。」
「私が知っているのは、奴等は『ナイトメア』と言う奴をボスに、そしてその下に直属の部下が4人。
そうね…『四天王』って所かしら。そして、その四天王のそれぞれの下に、部下が多数いるらしいわ。」

「そ…、そんな凄い相手が僕達の敵なの〜…?」
ミーナの話を聞いた昴は、そう情けない声で言った。
「私も、まさかクリスタルの事が、外に漏れてるなんて思わなかったのよ…。」
申し訳無さそうに、ミーナはそう呟いた。

一方、一世達がいる山からそう程遠くない場所の上空…。
ダークウィングは目の前に広がる町並みを眺めていた。
「原住民が住んでいる町か…。この辺りで奴等を炙り出してみるか!!」
そしてダークウィングは、口からもの凄い高出力の音波を放ち始めた…。
「こうしていれば、必ず奴等はやって来るに違いない…。」

宇宙船の中に、けたたましいサイレンの音が鳴り響く。
「一体何ですか? この音は?」
麻衣子がミーナに訊いた。
「何か異常なものを、船のセンサーが感知したみたい。」
「異常なもの…?」

その時、ミーナの足元辺りの床から、パソコンのモニターみたいなものが出てきた。
「どうやら…、一種の破壊音波みたいなものみたいね。でも、物質が破壊できる程、強力では無いわ。」
モニターを見ながら、そう彼女は説明した。
「この星では、こんなものが自然発生するの?」
ミーナは5人にそう質問した。
それを聞いた北斗が言う。
「まさかぁ。そんなものが自然発生したら困るよ。」
「と、言う事は…。」
「誰かがその音波を出してるって事だよな…。」
「そんな事するようなの…、一個しか思い当たらないんだけど…。」
「や、やっぱり…、あいつ等なのかなぁ…。」

「ちょっと待ってね、今、発生地点を突き止めてるから。範囲は多分狭いと思うから…。」
ミーナはモニターを操作して音波の中心点を探した。
「あ、あった!!」
ミーナがそう言うと、5人はモニターを覗きこんだ。
モニターには、この辺りの地図が表示されていて、その中に小さな光点が光っていた。
「この光ってる小さな点がそれ?」
と、未来が訊く。
「ええ、その光点が音波の発生地点よ。」
ミーナはそう答えた。

第三話序盤へ。 第四話後半へ。


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