せいぎのみかた
第3話「風が吹いた時。」

※前回のあらすじ※
ついに敵が現れ、そして戦士として覚醒した一世。
なんとか無事に倒したが、まだ戦士は一世一人…。
それからどうなったのか……………。

「はぁ? 変身して、でかくなって、んで、悪い奴が出てきて倒した?」
「……何寝言言ってんのよ、あんた。」
そう言ったのは未来だった…。

「だーかーらー、俺が高校生位に大きくなってなー、それで鎧を着ててなー、んで、何か知らんが必殺技を出してたんだよ。」
一世は、えらく分かり難い説明を未来にした。
それを聞いた未来は、
「まぁ…もう私等もめったな事じゃビックリしないだろうなー。」
と、ユニコーンを見ながらそう言った。
一世もドラゴンを見て、
「そ…、そうだね…。ハハハ…。」
と、苦笑いをしながら言った。

一方…。
「とりあえず、我等の船を何処かに着けておいた方が良いな…。」
と、窓の外に広がる宇宙空間を眺めながら『奴』は静かに言った。
「このままここにいても、ただエネルギーを無駄に消費するだけだ。」

「ブラックドラゴン、話がある…。」
クルーガーは『奴』に向かってそう言った。
「何だ?」
ブラックドラゴンと呼ばれた奴がそう言った。
「今回はこの俺に任せてくれないか? 頼む。」
それを聞いたブラックドラゴンは少し考え、そしてこう言った。
「…良いだろう、やってみろ。」

んで、場所はもどってここは一世達の学校、5年2組の教室。

「言った事は全部本当だからな!!」
一世は皆に言い聞かせる風にして言った。

「別にお前の事は疑ってねーよ。あの日以来もうめったな事じゃ驚かねぇよ。」
一世をなだめる様に、北斗は言った。

「そ、そうだよぅ。疑ってなんかいないよぅ。」
言い訳する様に言ったのは昴だった。

「一世が『戦士』になったって事は、私達もいつか『戦士』として戦うって訳ね…。」
納得した様に未来が言った。

「でも…戦うって事は相手を倒すって事でしょ? でも倒すって事は相手を『殺す』って事でしょ?
どうしても私は気が乗らないな…。」
麻衣子がちょっと困った顔をしてそう言った。

それを聴いた未来がこう言った。
「確かに…、そう言う事になると…流石に私も気が乗らないな…。」

んでその頃クルーガーは…。

何も無い部屋でクルーガーは、手の中からイービル・コアを取り出した…。
そして、イービル・コアは妖しく輝きだし…。
「目覚めよ…我が手下よ…。」
やがて輝きが強まっていき…そしてクルーガーは叫んだ。

「出でよ!! JCN!!!」

輝きが最高潮となり、そして光りが消え、現れたのは…。
体のほとんどがケーブルで、膝と肩にはマウス、そして頭はモニター、腹にはキーボードという姿をした者だった。

そして…クルーガーは静かにJCNに言った。
「…やるべき事は分かっているな?」
「はい…この私めにお任せを…。必ず、パワークリスタルをこの手に!!」

んで場所は戻って…。

「あ、そうだ。誰かこれをミーナさんの所へ持ってってくんねぇ?」
そう言って一世は、ポケットから砕けたイービル・コアの欠片を取り出した。

北斗はそれを見て
「何だよ、このガラスの欠片みたいなモンは? 自分で持ってきゃいいじゃねぇか。」
と、言った。
「何か敵を倒したらこれが出てきたんだよ。俺が持って行きたいんだけど、今日は用事があって駄目なんだよ。」
そんな一世の言葉に、北斗は仕方なさそうにそう言った。
「…しょうがねぇなあ…。じゃあ持っていってやるよ。」

未来は、パワークリスタルを出し、手に取って眺めながら、こう言った。
「こんな石っころにそんな凄い『力』が有るなんてねー…。いまいち信じられない。」
一世もクリスタルを眺めながら言った。
「体験した俺だっていまだに信じられないんだからな…。」

そのころJCNは繁華街に来ていた…。

「ふむ…ここには沢山の人がいるようだな。ここなら奴等を誘き出すには丁度いいな。」
そう言って眼下を眺めた。
そこには、何も知らない大勢の人達が行き交っていた。

「うおおおおおおおおおおおお!!」
そうJCNが叫ぶと、全身のケーブルを伸ばし人々に襲いかかった。

「うわあぁぁぁぁぁ!!」
「な、何だ!?このコードは!?」
「はっ、放せえぇぇぇぇ!!」
「いやぁ!!何よこれぇ!!」
突然現れた無数のケーブルに襲われ、人々はパニックに陥った。
しかし無情にも、無数のケーブルはたちまち、人々をがんじがらめに縛りあげていくのだった。

その現場から少し離れた路地……。
麻衣子は通学路でもあるその道を通って、丁度家へと帰る所であった。
だが、その時不意に彼女の耳に人の悲鳴の様なものが聞こえて来たのだった。

「何だろう? 人の…悲鳴?」
そう言って麻衣子は周りを見渡した。
その時、麻衣子の聖獣ペガサスが現れて言った。
「麻衣子、どうやらあっちの方から聞こえてくるみたいですよ!! 行ってみましょう!!」
「え!? 行くの? 本当に?」
「当たり前ですよ。もしかしたら、クリスタルを狙ってる奴等かも知れないでしょう?」
そう言ってペガサスは、麻衣子の服をぐいぐいと引っ張り始めた。
「分かったからそんなに引っ張らないでよ。ペガサス〜。」

そして、麻衣子は悲鳴が聞こえて来た場所の辺りに着いた。
しかし、何があるか分からないので、とりあえず物陰に隠れて辺りの様子を見た。
彼女の目に入ったのは、沢山の人達が何かに縛られている光景だった。

麻衣子は何かのコードみたいなものをつかんだ。
「何…? 何なのこれ…。」
ペガサスはそのコード見て言った。
「どうやら、コンピュータのケーブルみたいですね…。」
「何でこんなものがこんな街中にあるんだろう?」

気になった麻衣子はさらに物陰から覗いてみた。
そこには買い物に来たのか、それとも終わって帰る所なのか分からないが、親子連れもいた。
しかし、幸いにも子供の方は縛られてはいなかった。
だが、縛られている親のそばで、子供はただ泣き喚き続けていた。

「何て事を…あんなちっちゃい子の前で…。」
麻衣子がそう呟いたその時、コンピュータのケーブルが子供にも襲いかかった。
しかし、成すすべが無く、あっと言う間に子供はケーブルに絡めとられてしまった。
必死で親に向かって泣き叫ぶ子供…。

「やめてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

いつの間にか、麻衣子はそう叫んでいた。
その時、一陣の風が吹いた…。
「な…何? ペガサス、この風は・・・?」
麻衣子の周りには、強く、そしてやさしい風が吹いていた…。
「! 説明は後です!! 先にこの状況を何とかしますよ!!」
そうペガサスが言うと、額のクリスタルが輝き、そして…
「バトルフィールド!!」
そう叫ぶと強風が吹くと共に、辺りの空間が歪んだかと思うと、辺りは無人となっていた。

だが…。

「?! これは?!」
JCNも辺りの異変に気が付いた。
「これが…クリスタルの力か…。と、言う事はすぐ近くにクリスタルを持つ者がいると言う事か。」
そう呟くと、JCNは一旦伸ばしたケーブルを元に戻し、そして再び伸ばし、辺りを破壊し始めた。
「さぁ出て来い!! 私はここにいる!! ハハハハハハ!!」
まるで挑発する様にJCNは大声で叫んだ。

そしてある建物を破壊した、その建物から人影がのぞいた。
もちろんそれは、バトルフィールドにいる事の出来る人間…そう、麻衣子だった。
JCNは麻衣子の姿を見つけると…。
「クリスタルの力で無人の空間になっている筈のここに何故人が…、まさかとは思うが…あの子供が!!」
JCNは麻衣子に向かってケーブルを伸ばし、襲いかかった。

だがその時、ペガサスは大きくなり、麻衣子を乗せ空へと舞い上がった。
すぐ後ろにはJCNのケーブルが追いかけてくる。
「ペガサス、このまま逃げられないの?!」
「麻衣子それは無理です!! このケーブルから逃げるのがやっとですよ!! それにさっき顔を見られてしまいました!!」
ペガサスは続けて言った。
「それに、たとえ逃げ切れたとしても、あいつを放っておく事は出来ません!」
「じゃあどうすれば…。」
「やる事は…一つしか有りませんでしょう?」
麻衣子は少し考え…そして、
「分かった。自信は無いけどやってみる!!」
そう言って麻衣子は叫んだ。

「聖獣召喚!! ペガサスフォーム!!」

麻衣子の周りを疾風が吹き、そして次の瞬間には一世と同様に高校生位の姿になった…。
しかし、彼女は翼をデザインされた綺麗な白い鎧に身を包んでいた。
そしてペガサスもドラゴン同様、白い一陣の光となり…一本の剣へと姿を変えた。
その剣の名は…『ペガサス・ソード』


第二話前半へ。 第三話中盤へ。


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